古生代とはどのような時代だったのか~カレドニア造山運動とバリスカン造山運動

古生代とはどのような時代だったのか~カレドニア造山運動とバリスカン造山運動

古生代というと地球の歴史の中でも「古い」部類に入りそうな気がしますが、実際はそんなことありません。むしろ比較的新しい時代ともいえます。本記事では、地球の46億年の歴史の中での古生代の位置づけ。そして古期造山帯や石炭など、地理の授業における古生代の扱いについて学びます。また、少し突っ込んで、カレドニア造山運動やバリスカン造山運動についても触れていきます。

地質時代の中の古生代

 地球は約46億年前に誕生したと考えられています。歴史の授業では、人類が誕生したとみなされる約400万年前以降、とくに文字記録の残る直近の数千年間を扱います。ということは、地球の歴史のうち99.9%の期間は歴史の授業で普通は扱われません。

 地質時代とは、この46億年という長い期間を、岩石の状態や化石の種類によって区分したものです。

 地質時代を大きく2つに分ける場合、生物の化石が豊富にみられるようになる前後で区分します。これが、先カンブリア時代と顕生代です。

先カンブリア時代 = 生物の化石の乏しい時代

   ↓

  約5.4億年前

   ↓

顕生代(顕生累代) = 生物の化石の豊富な時代

つまり、46億年のうち約40億年(87%)が先カンブリア時代となります。残りの13%が顕生代で、顕生代は更に古生代、中生代、新生代に分かれます。

古生代 = 前半は三葉虫・軟体動物など海中生物、後半は魚類から両生類の時代

 ↓

 約2.5億年前

 ↓

中生代 = 爬虫類・恐竜の時代

 ↓

 約6500万年前

 ↓

新生代 = 哺乳類の時代

つまり古生代は、海で進化した生物たちが次第に陸上へ進出していく時代というわけですね。「古い生物のいた時代」が古生代ということです。古生代は更に6つの時代に区分されます。

カンブリア紀 → オルドビス紀 → シルル紀 → デボン紀 → 石炭紀 → ペルム紀

しかし、高校地理でここまで細かく覚える必要はありません。理科で地学を選択しているのなら話は別ですが。

古生代における二つの造山運動

 高校地理では、古生代と結びつけて学習するのが「古期造山帯」と「石炭」です。古期造山帯は古生代に造山運動を受けた山脈です。この造山運動は、プレートテクトニクス理論に従えば、プレートとプレートが衝突して山脈を造る運動と言ってよいでしょう。プレートの境界となる場所は時代によって変化します。古生代に作られた山脈が現在はプレートのど真ん中に有ったりします。

 高校地理においては、「古生代=古期造山帯」という簡単な認識で十分とも言えます。もう少しだけ細かい話をすると、ヨーロッパから北米にかけては、古生代に二つの異なる時期に大きな造山運動が有ったのでした。その二つについてこれから見ていきます。

カレドニア造山運動

 カレドニア造山運動は、先カンブリア時代末期からデボン紀初期にかけての造山運動です。ですので、古生代の前半におきた造山運動といえます。

 カレドニア造山帯に含まれると考えられる主な山脈は次の通りです。

 北米大陸 : グリーンランド東岸~アパラチア山脈

 ヨーロッパ : スカンディナヴィア山脈~グレートブリテン島・アイルランド島

 これらの山脈は、大西洋をはさんで東西に分かれていることが分かります。つまり、大西洋が開く前はひとつづきに連続していたわけです。

 ちなみに「カレドニア」とは現在のスコットランド周辺のことを指していて、古代ローマ帝国が名付けた地名です。

ヘルシニア(バリスカン)造山運動

 ヘルシニア(バリスカン)造山運動は、石炭紀前後に発生した造山運動です。ですので、古生代の後半におきた造山運動といえます。

 ヘルシニア(バリスカン)造山帯に含まれると考えられる地域は次の通りです。

 ポルトガル~スペイン西部~アイルランド島南部~グレートブリテン島南部~フランス北部~アルデンヌ~ドイツ中部

 これらの地域は、アフリカ(ゴンドワナ大陸)とヨーロッパ(ローレンシア大陸)の衝突によって作られた造山帯です。この衝突によって、地球はパンゲア大陸と呼ばれる一つの超大陸にまとまっていったのです。

 ちなみに、ヘルシニアとはヘルシニア造山帯の山々をさす総称として使われたり、この地域の森のことを「ヘルシニアの森」と言ったりします。バリスカンとは、ドイツ中部を指すラテン語での言い方です。

その他の造山運動

 古期造山帯はヨーロッパ以外にもあります。しかし学術の中心が欧米にある以上、欧米に関する研究が進んでいるのは仕方のないことで、学術書・学習参考書で取り上げられるのは上記二つの造山運動が中心となっています。

 その他の主な古期造山帯は、ウラル山脈、グレートディヴァイディング山脈、テンシャン山脈、クンルン山脈などです。

古生代と石炭

 石炭は、植物が炭化したものです。古生代に繁茂していたシダ類等の植物が炭化したものが、現在の主な炭田を形成しています。植物が腐って分解されてしまうと炭化されないため、熱帯地域よりは、より低温の高緯度地方に炭田は多く分布します。植物の炭化には地熱と地圧の影響を受ける必要があるため、炭田は造山運動を受けた地域に多く分布します。高校地理では、「炭田は古期造山帯に広く分布する」と学習しますが、実際にはそうとも言い切れません。(参照:http://www.ninomiyashoten.co.jp/chiri_q_and_a/2018-001 ) とはいえ、テストでもそのように出題されますので、やはりステレオタイプとして「石炭 ⇒ 古期造山帯」と覚えておく必要があるでしょう。

まとめ

 古生代は「古い生物の時代」という意味ですが、地球46億年の歴史の中では比較的最近の時代です。地球の歴史がいかに壮大で、そして人間の時代がいかに薄氷の上にあるか考えないわけにはいきませんよね。

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