ジュート・サイザル麻・マニラ麻の違いなど地理に登場する麻の種類を紹介

ジュート・サイザル麻・マニラ麻の違いなど地理に登場する麻の種類を紹介

地理に登場する繊維の一つにジュートがあります。ジュートは麻の一種で、インドのコルカタがジュート工業で知られています。私大の入試などでは、サイザル麻やマニラ麻が登場することもあります。これら様々な麻について、その違いを分かりやすく説明します。

麻とは何か

 麻は植物から摂れる繊維です。その種類は多様で、20種近くあるようです。種類によって特徴も異なるため、本記事では地理で登場する可能性のある種類の麻だけを紹介します。

 麻は大きく植物の茎から摂れる靭皮(じんぴ)繊維と、植物の葉から摂れる葉脈(ようみゃく)繊維に分かれます。靭皮繊維は比較的柔らかいため、衣類、家庭用品等に利用されます。靭皮繊維に分類される麻には、亜麻(あま、リネン)、苧麻(ちょま、ラミー)、黄麻(こうま、ジュート)などがあり、地理の授業ではジュートがよく登場します。葉脈繊維にはサイザル麻やマニラ麻があり、比較的硬い繊維ですので、ロープなどの資材として利用されます。

靭皮繊維に分類される麻

 植物の茎から摂れる靭皮(じんぴ)繊維に分類される主な麻を紹介します。

亜麻(リネン)

 カフカス地方から中東が原産。日本には江戸時代に伝わり、本格的に栽培が始まったのは明治時代で、北海道を中心に栽培されました。繊維としての亜麻は、その柔らかさが特徴で、肌触りがいいことから、衣類や寝具として使用されます。枕カバーやシーツのことをリネンと呼ぶのも、材料に由来しています。また、亜麻の種子からは亜麻仁(アマニ)油が得られます。植物としての亜麻は英語でflax、麻繊維としての亜麻は英語でlinenです。

 生産量上位国(2015年)は、①カナダ②中国③インド④アメリカ合衆国➄エチオピアです(wikipediaより)。

黄麻(ジュート)

 熱帯の高温多湿の環境を好む植物で、中国原産と推測されていますが、現在はインドが栽培の中心です。インドでは、米や砂糖を入れるための麻袋として利用されます。ガンジス川流域のヒンドスタン平原は米やサトウキビの産地です。ガンジス川下流域のコルカタがジュート工業で知られており、ここで作られた麻袋に米や砂糖・砂糖を入れて運ぶわけです。

 なお、モロヘイヤとして知られる食材もジュートの一種です。

 ジュートの生産上位国(2016年)は、①インド②バングラデシュ③中国④ネパール➄ウズベキスタン(データブックオブザワールドより)。インドとバングラデシュで98%のジュートが生産されます。

葉脈繊維に分類される麻

植物の葉から摂れる葉脈(ようみゃく)繊維に分類される主な麻を紹介します。

 

サイザル麻

 サイザル麻はメキシコ原産の植物で、19世紀には世界中で栽培されるようになりました。この繊維の積み出し港はメキシコのユカタン半島にあるシサール(sisal)という町です。スペイン語でシサール、英語ではサイザルと発音します。ロープや紐(ひも)に使用されます。他には、鞄や帽子、カーペット、ダーツの的として使われます。

 生産量上位国(2013年)は、①ブラジル②タンザニア③ケニア④マダガスカル➄中国です(wikipediaより)。

マニラ麻

 フィリピン原産の植物で、名前は首都マニラに由来します。硬くて湿気に強いため、ロープや紐(ひも)、帽子、帆布などに使用されます。

 生産量の詳細なデータが見つからないのですが、フィリピン産が世界の85~95%を占めており、2番目がエクアドルだということです(wikipediaより)。

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