我が国日本は、1964年にOECDに加盟して先進国の仲間入りを果たしたと言われています。ところで、OECDとは何でしょうか。どのような国が加盟していて、加盟のための基準・条件はなんでしょうか。OECDが「先進国クラブ」と呼ばれている理由は。本記事では、そういった疑問を解消していきます。
OECDとは何か
名称:OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)
経済協力開発機構
設立:1961年
加盟:37か国(2021年1月)
本部:パリ(フランス)
OECDは、日本政府の説明によれば「自由主義経済の発展のために協力を行う機構」として、1961年にOEEC(欧州経済協力機構)が発展的に改組されたものです。
ではOEECはどのような組織だったかというと、やはり日本政府の説明では「1948年、米国による戦後の欧州復興支援策であるマーシャル・プランの受入れ体制を整備するため」に設立された、ということです。
マーシャル・プランとは、第二次大戦後のヨーロッパをアメリカが支援するという計画です。これを受け入れるヨーロッパ側の組織がOEECですので、参加国は自由主義陣営である西ヨーロッパ諸国ということになります。東ヨーロッパの共産主義陣営はソ連の支援を受けることになったため、これは東西冷戦の一側面であることが分かります。
冷戦が終結した現在では、旧東側諸国もOECDに加盟していますが、本来OECDとは西側諸国だけの協力機構であるということが分かります。
OECDに加盟するとどうなるのか
OECD条約の第1条によると、OECD設立の目的は次の三つです。(外務省HPより)
1.経済成長
加盟国の財政金融上の安定を維持しつつ,できる限り高度の経済と雇用,生活水準の向上の達成を図り,もって世界経済の発展に貢献すること。
2.開発
経済発展の途上にある地域の健全な経済成長に貢献すること。
3.貿易
多角的・無差別な世界貿易の拡大に寄与すること。
これを簡単に言い換えると次のようになるでしょう。
1.世界経済の発展
2.発展途上国の支援
3.自由貿易の実現
とくに、2番目の「発展途上国の支援」が重要となってきます。OECDに加盟するということは、支援される側から支援する側になることです。つまり「もらう」側から「あげる」側になるわけですから、加盟する・しないの判断は大きな決断です。「あげる」余裕のある国の集まりですので、OECDは「先進国クラブ」と呼ばれることがあります。
OECD加盟国の変遷
OECD加盟国は現在(2021年1月)37か国となっています。1961年の設立時点での原加盟国は、欧米諸国の20か国(トルコをヨーロッパに含めるなら)。その後、1964年に日本が原加盟国以外では初めて、そしてアジアとしても初めて加盟を果たします。最近ではコロンビアが2020年4月に加盟しています。
OECDの加盟条件
OECDの加盟条件について、OECD公式HPには次のように書かれています。
Becoming a Member of the OECD is not a simple formality but is the result of a rigourous review process. The OECD governing body (the Council), which comprises all the Members of the Organisation, decides whether to open accession discussions with a country and fixes the terms, conditions and process for accession.
「OECDメンバーになるには、簡単な手続きではなく、厳密な審査を経なければならない。全加盟国で構成されるOECDの統治機構(議会)が、加入のための話し合いを開催するかどうかを決め、加入のための条件を設定する。」(私の訳です)
OECDへの加盟を果たすには、税制、環境、経済統計を含む幅広い分野の政策でOECDの基準を満たす必要があります。所定の条件があるのではなく、その国の実情に応じた条件が話し合われるわけです。とはいえ「先進国クラブ」と呼ばれるくらいですから、その国の経済力が重要なのは間違いありません。
一人当たりGDP(国内総生産)(購買力平価)(2018年)では、OECD加盟国中、最も高い国はルクセンブルクの113,337ドル(約1179万円)で、もっとも低い国は最近加盟したコロンビアの15,012ドル(約156万円)です。そう考えると、一人当たりGDPで最低1万ドル(約104万円)は必要とみて良いでしょう。