地域には、等質地域、均等地域、機能地域、結節地域、形式地域など様々な種類のものがあります。地域研究を主要命題とする地理学では、地域の意味を定義づけして使用しています。本記事では、一般には分かりにくい、様々な種類の地域の違いを解説します。
地域とは何か
「地域」という用語を辞書で調べてみます。『新明解国語辞典』には、「地形や行政管轄などの観点から、なんらかの意味で、ひとまとまりのものとして他と区別される土地」とあります。「他と区別される土地」という箇所が重要ですね。「なんらかの意味」を説明し始めると文字数が多くなるので省略されているわけですが、十分理解できる書き方で感心します。
さて、このような「地域」をどう理解するか、地理学では昔から議論がなされてきました。このような学説史をまとめるのが本ブログの趣旨ではないので、そこは省略します。現行の教科書にも紹介されているように、地域は等質地域(homogeneous region)または均等地域(uniform region)と、機能地域(functional region)または結節地域(nodal region)に分けられるという考え方があります。これを最初に詳しく分類したのがホイットルセーです(1954年)。ホイットルセーは、高校地理では、農業地域区分を作った地理学者として有名です。
等質地域・均等地域とは
等質地域(homogeneous region)または均等地域(uniform region)というのは、何らかの指標で同じような状態にある範囲を囲ったものです。高校地理に登場するものですと、ケッペンの気候区分や、ホイットルセーの農業地域区分もこれに該当します。また、「東アジア文化圏」という言い方もこれに該当します。このような地域の境界線は、地図上では明確に線引きされますが、実際にその場にいても区別できるようなものではありません。しかし、広い範囲の概略を理解する上では有用な手法です。
機能地域・結節地域とは
機能地域(functional region)または結節地域(nodal region)について説明します。
機能地域と言う場合には、何らかの機能を共有する地域ということですが、例えば購買行動から見た商圏、通勤圏、通学圏などを含んだ都市圏がこれに該当します。この都市圏には、例えば東京都市圏なら東京駅、名古屋都市圏なら名古屋駅といった結節点(node)が中心となりますので、そういう意味では結節地域と呼ばれます。高校地理では、クリスタラーの中心地理論もこれに該当します。
まとめ
等質地域にしても機能地域にしても、何らかのデータをもとに地域区分を作ります。(主観的な観点で景観を見る方法もありますが)
データというのは、地方自治体のような行政体単位でまとめられていることが多く、この地方自治体ような地域は形式地域と呼ばれます。狭い範囲で形式地域をもとに地域区分を作ると、現実にそぐわない区分ができてしまう恐れがあるので注意が必要です。高校地理では、階級区分図という表現方法で描かれる地図がこれに相当します。