テラロッサは石灰岩からできた間帯土壌です。しかし似たような名前のテラローシャという土壌があり、受験生泣かせな用語となっています。本記事では、テラロッサが赤色になる理由や肥沃にならない理由、そしてテラローシャと混同しない覚え方について解説します。
テラロッサは間帯土壌
テラロッサは、気候の影響よりも、母岩となる岩石の影響を強く受けた土壌です。このような土壌を間帯土壌といいます。
では、その母岩となる岩石は何でしょうか。それは石灰岩です。テラロッサが主に分布する地中海地方は、石灰岩地形が広がることで知られています。石灰岩地形のことをカルスト地形と呼びますが、このカルストという語句がスロベニアの地名であることからも分かります。
テラロッサは赤色
土壌を学ぶ際には、その色を知ることが重要です。結論から先に言ってしまうと、テラロッサの色は赤系の色と覚えることになります。テラロッサ(terra rossa)は、イタリア語で「赤色の土」という意味です。ロッサ(rossa)は、女性名詞に付く形容詞ですので、土はイタリアでは女性名詞なんですね。ちなみに、男性名詞に付く場合にはロッソ(rosso)となります(例:ヴィーノ・ロッソ=赤ワイン)。
ところで、なぜテラロッサは赤色になるのでしょうか。テラロッサの母岩は石灰岩ですので、何となく白系の色になる気がします。ところがそうではありません。理由は次の通りです。石灰岩は炭酸カルシウムに富みます。炭酸カルシウムは雨水に溶けます。こうやって作られる地形がカルスト地形です。一方、土中の鉄分は簡単には溶け出しませんので、酸化鉄の色が強くなって赤色となるわけです。
テラロッサは肥沃ではない
テラロッサの母岩は石灰岩です。石灰岩は炭酸カルシウムに富みます。炭酸カルシウムは中性ですので、農業にとっては適した土壌のはずです。しかしテラロッサは農業に適さない土と紹介されます。その理由を考えます。
これは、石灰岩に問題があるからではありません。現に、沖縄の島尻マージと呼ばれる石灰岩土壌は養分に富みます。原因は母岩にあるのではなく、その気候にあるのです。地中海性気候は夏に乾燥します。自然の状態では、地中海地方の植生は乾燥に強い小さな低木が主となり、腐植層が形成されにくいためです。
結果、母岩の石灰岩と地中海性気候が合わさって、肥沃ではないテラロッサが生成されるわけです。
テラロッサとテラローシャの区別
間帯土壌には、テラロッサに似た名前のテラローシャという土壌もあります。テラロッサがイタリア語で「赤い土」なのに対して、テラローシャはポルトガル語で「紫色の土」ということで、名前も意味も似ています。
テラロッサ → イタリア語 → 石灰岩 → 肥沃でない
テラローシャ → ポルトガル語 → 玄武岩 → 肥沃(コーヒー)
筆者はこの2つを混同しないよう、30年前の高校生のときに次のような覚え方を編み出しました。それが「コーヒー、コーシー、テラローシャ」という呪文です。コーシーとは、江戸弁でコーヒーのことを指しています。これで区別ができます。