テラローシャの特徴・赤紫色の作られ方・分布とコーヒー栽培

  • 2021.01.11
  • 2021.01.16
  • 土壌
テラローシャの特徴・赤紫色の作られ方・分布とコーヒー栽培

テラローシャは玄武岩が風化してできた間帯土壌です。しかし似たような名前のテラロッサという土壌があり、受験生泣かせな用語となっています。本記事では、テラローシャが紫色という特異な色となった理由や、テラロッサと混同しない覚え方について解説します。

テラローシャは間帯土壌

 テラローシャは、気候の影響よりも、母岩となる岩石の影響を強く受けた土壌です。このような土壌を間帯土壌といいます。

 では、その母岩となる岩石は何でしょうか。それは主に玄武岩輝緑岩(粗粒玄武岩)です。テラローシャの分布するブラジル高原の南部(とくにパラナ州周辺)には玄武岩が多く分布します。玄武岩は一般的に海洋底を作る岩石で、プレートの広がる境界である海嶺で作られるものです。しかし世界には、海洋底ほどではないですが、一部の陸地にも玄武岩が見られます。大陸上にまとまった玄武岩が見られる場合、その理由の一つとして考えられているのが、大陸分裂の際に噴き出た玄武岩です。このような玄武岩は「洪水玄武岩」と呼ばれ、溶岩台地を作ります。 かつて地続きだったアフリカ大陸と南米大陸が分裂した際にあふれ出た玄武岩が、テラローシャの母岩となっています。

テラローシャは、玄武岩や輝緑岩(粗粒玄武岩)が風化してできた間帯土壌

テラローシャは紫色

 土壌を学ぶ際には、その色を知ることが重要です。結論から先に言ってしまうと、テラローシャの色は赤系の色と覚えることになります。テラローシャ(terra roxa)は、ポルトガル語で「紫色の土」という意味ですので赤よりは暗い色なのでしょうが、高校地理における土壌の色は黒系・赤系・白系・茶系・黄系と大雑把にとらえれば十分です。ですので、テラローシャは赤色と覚えればよいでしょう。

 同じように玄武岩が風化してできた間帯土壌にレグール土がありますが、レグール土は黒色でテラローシャが赤色になっているのは何故でしょうか。それはラトソルが赤くなるのと同じ理由によります。熱帯は高温で降水量が多いため、二酸化炭素を含んだ雨水(酸性の炭酸水)が、地中の微生物の呼吸により濃度を高め、岩石・鉱物を溶かします。水に溶けにくい酸化鉄と酸化アルミニウムが土壌中に残ったのがラトソルという土ですが、テラローシャも同様な理由で赤くなるわけです。ちなみにレグール土は熱帯黒色土とも呼ばれ、これは玄武岩に含まれる色素の影響でして、テラローシャもそれに近い土壌です。ですので、レグール土の黒とラトソルの赤、これらを作る理由がミックスしてできた「紫色」というわけですね。

テラローシャは、母岩に含まれる有色鉱物の黒色と、高温多雨のため集積した酸化物の赤色が混じって紫色に

テラローシャの分布とコーヒー栽培

 上述したラトソルは腐食層に乏しく農業には適さない土壌ですが、同じような理由で赤くなるテラローシャは肥沃な土壌です。これは母岩の影響で、カルシウムやマグネシウムなど植物の成長に有用な栄養素が多く含まれているからです。

 テラローシャが分布するのは、ブラジルの中でもパラナ州の周辺です。ここでは、この肥沃な土をコーヒー栽培に利用します。

テラローシャは肥沃で、コーヒー栽培に利用される

テラローシャとテラロッサの区別

 間帯土壌には、テラローシャに似た名前のテラロッサという土壌もあります。テラローシャがポルトガル語で「紫色の土」なのに対して、テラロッサはイタリア語で「赤い土」ということで、名前も意味も似ています。

 テラローシャ → ポルトガル語 → 玄武岩 → 肥沃(コーヒー)

 テラロッサ → イタリア語 → 石灰岩 → 肥沃でない

 筆者はこの2つを混同しないよう、30年前の高校生のときに次のような覚え方を編み出しました。それが「コーヒー、コーシー、テラローシャ」という呪文です。コーシーとは、江戸弁でコーヒーのことを指しています。

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