【ケッペンの気候区分】判定の手順を解説・覚え方は簡単

【ケッペンの気候区分】判定の手順を解説・覚え方は簡単

「高校地理といえばケッペンの気候区分」と言っても大げさではないくらい、この単元は重要で存在感があります。また、この単元を理解すれば、土壌、植生、農業、文化などの理解につながります。本記事では、ケッペンの気候区分を判別する手順を解説します。

ケッペンの気候区分とは

 ケッペンはロシア生まれのドイツ人気候学者です。19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけて、世界の気候をシンプルに区分するという業績を残しました。ケッペンの気候区分は、植物の景観(植生)の違いを、気温と降水量のデータを使って説明するという方法をとっており、その区分をアルファベット2~3文字で表したことで世界中の誰もが理解しやすいものとなりました。

 ちなみに、日本で地理を学ぶ者にとっては神様のようなケッペンですが、たまたま知り合ったドイツ人に聞いてみたところ、彼はケッペンの存在を知りませんでした。

手順① 乾燥帯(B)の判定

 植生で気候を区分するケッペンの手法では、最初に「樹木が見られない」場所、とくに乾燥のために樹木が見られない場所を区分します。これが乾燥帯(B)です。

乾燥帯の手順1 f型・s型・w型の判別

 1年間を半分に区切ります。「4月~9月」と「10月~3月」です。

  ↓

 北半球ならば、「4月~9月」を「夏」、「10月~3月」を「冬」とします。

 南半球ならば、「10月~3月」を「夏」、「4月~9月」を「冬」とします。

  ↓

 年降水量のうち、「夏」に70%以上の降水量が集中していれば「w型」

 年降水量のうち、「冬」に70%以上の降水量が集中していれば「s型」

 上記以外の場合は「f型」 になります。

乾燥帯の手順2 乾燥限界値の判定

  次の方法で乾燥限界値(R)を算出します。 t…年平均気温(℃)

 

   s型 → R=20t

   f型 → R=20(t+7)

   w型 → R=20(t+14)

乾燥帯の手順3 乾燥気候(B)になるかの判定

 乾燥限界値と年降水量(㎜)を比較します。

 

 R … 乾燥限界値   r … 年降水量(㎜)

 

   R > r ならば乾燥気候(B)

   R ≦ r ならばそれ以外の気候(A、C、D、E)

乾燥帯の手順4 砂漠気候(BW)とステップ気候(BS)の判別

 乾燥帯(B)は、更に「草程度なら生える」というステップ気候(BS)と、「草も生えない」砂漠気候(BW)に区分されます。

 

   0.5R > r ならば砂漠気候(BW)

   0.5R ≦ r < R ならばステップ気候(BS)

 

注)教科書・参考書によって、R・r・tといった記号や計算式に表記上の違いがありますが、内容は同じです。

手順② 寒帯(E)の判定

 乾燥帯(B)に区分されなかった場合、次に「寒すぎて樹木が見られない」という寒帯(E)の判定をします。

 樹木が見られない乾燥帯(B)と寒帯(E)は、「無樹木気候」とも呼ばれます。

寒帯の手順1 寒帯(E)になるかの判定

 最暖月平均気温 が 10℃ 未満  → 樹木が生えない → 寒帯(E)

寒帯の手順2 ツンドラ気候(ET)と氷雪気候(EF)の判別

 寒帯は、「コケ程度なら生える」というツンドラ気候(ET)と、「コケも生えない」氷雪気候(EF)に区分されます。

 

 最暖月平均気温が0℃以上 → コケ程度なら生える → ツンドラ気候(ET)

 最暖月平均気温が0℃未満 → コケも生えない → 氷雪気候(EF)

 

手順③ 熱帯(A)の判定

 乾燥帯(B)でも寒帯(E)でもない場合、つまり樹木が見られる場合は、気温によって熱帯(A)・温帯(C)・亜寒帯(D)の3つに区分されます。これらは「樹木気候」とも呼ばれます。

熱帯の手順1 熱帯(A)になるかの判定

 最寒月平均気温が18度以上 → 熱帯(A)

熱帯の手順2 熱帯雨林気候(Af)になるかの判定

 熱帯は、降水量によって更に3つの気候に区分されます。

 そのうち、どの月でも60㎜以上の降雨が見られれば熱帯雨林気候(Af)になります。

 

 最少雨月降水量が60㎜以上 → 熱帯雨林気候(Af)

 

熱帯の手順3 弱い乾季のある熱帯雨林気候(Am)とサバナ気候(Aw)の判別

 熱帯で最少雨月が60㎜未満の場合、雨季と乾季の差が明瞭かどうかで更に2つの気候に区分します。この場合、次の計算式と図を用いることになります。

 

 y = -0.04x + 100

   y … 最少雨月降水量

   x … 年降水量

熱帯気候の判別

手順④ 温帯(C)の判定

 次に温帯(C)を見ていきます。

温帯の手順1 温帯になるかの判定

 最寒月平均気温が‐3度以上18度未満 → 温帯(C)

温帯の手順2 温帯の4つの気候区の判定

 最多雨月(冬)の雨量が最少雨月(夏)の3倍以上 かつ 夏の最少雨月降水量が30㎜未満 → 地中海性気候(Cs)

 最多雨月(夏)の雨量が最少雨月(冬)の10倍以上 → 温暖冬季少雨気候(Cw)

 s型でもw型でもなく、最暖月平均気温が22℃以上 → 温暖湿潤気候(Cfa)

 s型でもw型でもなく、最暖月平均気温が22℃未満 → 西岸海洋性気候(Cfb)

 

手順⑤ 亜寒帯(D)の判定

 次に亜寒帯(D)を見ていきます。亜寒帯気候は、冷帯気候と言う場合もありますが、亜寒帯という表現の方が寒帯との序列が明確なので、本記事では亜寒帯で統一します。

亜寒帯の手順1 亜寒帯になるかの判定

 最寒月平均気温がー3度未満 → 亜寒帯(D)

亜寒帯の手順2 亜寒帯湿潤気候(Df)と亜寒帯冬季少雨気候(Dw)の判別

 最多雨月(夏)の雨量が最少雨月(冬)の10倍以上 → 亜寒帯冬季少雨気候(Dw)

 w型ではない → 亜寒帯湿潤気候(Df)

 

 なお、亜寒帯で夏に少雨となるDsという気候区は、高校地理では登場しません。

 また、Dfa、Dfbという区分も、大学受験までなら必要ありません。

 

まとめ

 以上のように、ケッペンの気候区分は、高校の学習内容では13個あります。最初は複雑で嫌だなあと思う人もいるでしょうが、慣れてしまえばむしろ機械的に考えることができる分だけ単純です。本記事が地理の学習に役立てば幸いです。

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