【Cfa】温暖湿潤気候の特徴~植生・土壌など~

【Cfa】温暖湿潤気候の特徴~植生・土壌など~

温暖湿潤気候は日本の主な気候です。四季の変化が明瞭な気候とよく言われます。本記事では、そのような気候が生まれる背景や、温暖湿潤気候の植生・土壌などを学習します。 

温暖湿潤気候(Cfa)の特徴 

 ケッペンが温暖湿潤気候に付けた記号はCfaです。Cは温帯、つまり「熱すぎず寒すぎず」ということ。fは「feucht(湿った)」すなわち「一年中雨が降る」ということ。受験のためだけの勉強なら、full season(一年中)雨がfuru(降る)のfと覚えてもよいでしょう。最後のaは、Cfを更に気温でCfaCfbCfcと区分するときのaです。 

 もう少し具体的に言い換えます。「熱すぎず寒すぎず」とは「最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満」のことで、「温かい」ということです。「一年中雨が降る」とは、「s型でもw型でもない」ということです。最後のaは、「最暖月平均気温が22℃以上」つまり「本格的に暑い夏がある」ということを意味します。 

 なお、「温暖湿潤気候は四季の変化が明瞭である」とよく言われます。これは見方を変えれば「冬は本格的に寒く、夏は不快に暑い」とも言えるわけで、物は言い様でして、「だから日本は素晴らしい!」という話ではないのです。 

  

 C ⇒ 温帯 = 最寒月平均気温 が -3℃ 以上 18℃未満 

 f ⇒ 一年雨が降る = s型(「冬の雨量」が「夏の雨量」の3倍以上)でもなく、 

             w型(「夏の雨量」が「冬の雨量」の10倍以上)でもない 

 a ⇒ 夏に高温になる = 最暖月平均気温が22℃以上 

  

 このような気候区分が生まれる理由を見ていきます。気温は緯度による理由が大きいため、温帯の条件になるのは中緯度です。温暖湿潤気候(Cfa)に関しては、主に大陸東岸の北緯・南緯2545度に分布します。西岸海洋性気候(Cfb)が大陸西岸の北緯・南緯4060度に分布するのに比べると、温暖湿潤気候は低緯度に位置しているため、夏は本格的に暑く湿度も高くなります。温暖湿潤気候を英語でhumid subtropical climate(湿った亜熱帯の気候)と呼ぶのも頷けます。 

 大陸東岸に位置するため、季節風の影響を受けますから、降水量は夏の方が多くなります。また、熱帯低気圧が到来しますので、初夏から秋にかけて降水量が多くなります。冬は比較的降水が少なく、局所的には乾燥する地域も見られます。しかし一般的には、偏西風が前線の温帯低気圧を運んでくるため、ある程度の雨が降ります。これによって、温暖冬季少雨気候(Cw)のような、夏と冬の降水量の差が10倍以上ある気候と区別されるわけです。 

温暖湿潤気候(Cfa)の雨温図 

 まず気温を見ます。最寒月平均気温が-3度以上18℃未満であること。これで温帯と判断します。 

 次に雨の降り方がs型でもw型でもないことを読み取ります。数字を用いれば、s型は冬に夏の3倍以上の降雨、w型は夏に冬の10倍以上の降雨があるので、どちらも当てはまらないのがf型というわけです。受験地理では、微妙なレベルでswfの判別をするような問題は出されないでしょう。そういった問題は良い問題とは言えません。 

 最後に夏の気温を見ます。最暖月の平均気温が22度以上であることを確認し、Cfaであることを確定させます。 

 なお、月平均気温が10℃以上の月が4か月未満の場合、Cfcという区分を使うこともあります。しかし高校地理および受験地理では無視してしまってよいでしょう。 

温暖湿潤気候(Cfa)の植生 

 暖かくて一年中湿潤というのは、植物にとっては良い条件といえます。よって、様々な植物がみられる気候区分です。一方で、本来ケッペンは植生で気候を区分したわけですから、「温暖湿潤気候の植生はこれだ」と一言で言えるようなものが欲しいのですが、そうでもありません。低緯度ならば常緑広葉樹、高緯度ならば針葉樹、その中間は常緑広葉樹・落葉広葉樹・針葉樹の混合林と複雑です。ケッペンの気候区分は、大陸西岸ではかなり明確な区分となっていますが、大陸東岸ではそうでもありません。 

混合林:広葉樹と針葉樹の混じった植生。逆に、単一種の樹木からなる樹林を純林という。 

温暖湿潤気候(Cfa)の土壌 

 温暖湿潤気候下では、適度な降水量と気温の結果、肥沃な褐色森林土が生成されます。少なくとも日本ではそうなっています。温暖湿潤気候イコール褐色森林土と覚えてしまっても、テスト・受験では問題ありません。しかし、気候区分図と植生分布図を見比べると、温暖湿潤気候が必ず褐色森林土になるとは限らないことも分かります。とりあえず、東アジアに関しては、褐色森林土で問題ありません。 

 温暖湿潤気候が広がるアメリカ合衆国南東部の植生を見ますと、赤色土・赤黄色土になっています。これは本来なら熱帯に見られる土壌です。なぜこのようになっているのかというと、現在より高温だった十数万年前の間氷期に生成されたものだからです。このように、現在とは異なる状況で生成された古い土壌のことを古土壌といいます。 

 また南米のパンパ地帯や北米のプレーリーは、温暖湿潤気候ですが温帯草原が広がっており、腐植が進みやすく黒土(パンパ土・プレーリー土)が見られます。 

温暖湿潤気候(Cfa)の分布 

 温暖湿潤気候では、夏は熱帯低気圧と季節風、冬は偏西風と温帯低気圧によって雨が降ります。このような条件となるのは大陸東岸の中緯度です。緯度的には南緯・北緯25度~45度のあたりに分布します。 

  

 Cfaの分布 … 大陸東岸の南緯・北緯25度~45度の辺り 

  

 アジア⇒日本(北海道を除く)、中国の華中・華南、台湾 

 北米⇒アメリカ合衆国南東部 

 南米⇒ブラジル南部~ウルグアイ~アルゼンチンのパンパ地帯 

 オセアニア⇒オーストラリア東岸 

温暖湿潤気候(Cfa)における人々の生活 

 気候が同じでも文化は異なるため、一言でCfa気候区の生活を説明することはできません。北半球のCfa気候区では、稲作という共通項が見られます。日本・中国はもちろん、アメリカでも南東部では稲作が行われています。 

 一方で、プレーリー地帯やパンパ地帯は小麦栽培で知られています。 

 とはいえ、新大陸にはヨーロッパからの移民が持ち込んだ文化が反映されているわけですから、伝統的なCfaの生活というのは、日本、中国、新大陸の先住民の中から見いだされるべきでしょう。 

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