【BRICS】Sが大文字・小文字? BRICS諸国の共通点は?【ブリックス】

【BRICS】Sが大文字・小文字? BRICS諸国の共通点は?【ブリックス】

ブリックスはBRICsと書いたりBRICSと書いたりします。このSは南アフリカ共和国のことですが、小文字と大文字バージョンがあるのは何故でしょう。そして、いつからsが大文字になったのか。そもそもBRICSとは何か。BRICS諸国の共通点は。本記事では、およそ20年前に誕生したBRICsBRICSについて学びます。 

BRICSとは・含まれる国は 

BRICS(ブリックス)とは、ブラジルBrazil)・ロシアRussia)・インドIndia)・中国China)・南アフリカ共和国South Africa)という5か国の頭文字を略したものです。最初にこの造語が誕生したときには、南アフリカ共和国を除く4か国で「BRIC」もしくは「BRICs」と表記していました。そもそもBRICsという用語が初めて登場したのは、ゴールドマン・サックスの2001年のレポートだと言われています。2010年から南アフリカ共和国を足して5か国になった際に、複数形を表す小文字のsが、南ア共を表す大文字のSになったのです。 

 BRICSは、NIEsと同様に、特定の地域連合・経済協定を指しているものではありません。NIEsと同様に、もともとは「特に注目すべき国々」としてセットで語られているだけでした。ところが、BRICsという用語が定着し、2006年にはBRICs4か国の外相会談が、2009年には首脳会談が開催されています。 

ゴールドマン・サックスのレポートの中身 

BRICsという用語が初めて使われたとされる、2001年のレポートには何が書かれていたのでしょう。このレポートは、現在もインターネットで閲覧が可能です。ここでは、巻頭に書かれている要約を、私なりに日本語訳してみます。(誤訳あるかもです)

  • 2001年と2002年、巨大な新興市場経済における実質GDP成長率は、G7のそれを上回るだろう。 
  • 2000年末の、ブラジル、ロシア、インド、中国(BRIC)における購買力平価(PPP)ベースのGDP(ドル換算)は、世界のGDPの約23.3%だった。名目GDPでは、世界のGDPに占めるBRICの割合は8%である。 
  • 名目GDP値を用いると、中国のGDPはイタリアのGDPよりも大きい。 
  • 今後10年間、世界のGDPにおけるBRICsとくに中国の影響力は増大し、BRICsにおける財政、金融政策の世界経済に与えるインパクトについて重要な問題が沸き上がるだろう。 
  • これらの見込みに沿えば、世界の政策決定会議は再編されるべきで、特にG7BRICの代表団を受け入れるよう調整されるべきである。 

BRICS諸国の共通点は 

BRICS諸国の共通点には、どのようなものがあるのでしょうか。 
 
山川出版社『地理用語集』には、「広大な国土、豊かな資源を有する人口大国である。様々な経済・社会改革を推し進め、比較的高い経済成長率を達成し、世界経済に大きな影響を与えている」と書かれています。 
 
 帝国書院『新詳地理B』の教科書には、「広大な面積や人口規模、資源埋蔵量の大きさに加え、経済の自由化推進、投資の流入などの点で共通性」があると書かれています。 
 
 とくに数値化が可能な国土面積、資源、人口、経済成長率などについて表にまとめてみます。 
 
 

  ブラジル ロシア インド 中国 南ア共 備考
人口(2019年) 2億1105万人
(6位)
1億4587万人
(9位)
13億6641万人
(2位)
14億3378万人
(1位)
5855万人
(24位)

中国に台湾
・香港・マカオ
は含まず(以下同)

国連統計より

面積 851万㎢
(5位)
1709万㎢
(1位)
328万㎢
(7位)
960万㎢
(4位)
122万㎢
(24位)
wikipedeia
より
主な資源
埋蔵量
(2017年)
鉄鉱石3位 石炭4位
原油6位
天然ガス1位
鉄鉱石2位
石炭3位
鉄鉱石5位
石炭2位
天然ガス9位
鉄鉱石4位
石炭10位 データブック
オブザワールド
より
名目GDP(2000年) 6523億ドル 2597億ドル 4535億ドル 1兆2149億ドル 1384億ドル 世界国勢図会
より
名目GDP(2015年) 1兆8036億ドル 1兆3263億ドル 2兆1327億ドル 11兆2261億ドル 3174億ドル 同上
実質経済成長率(2000年) 4.4% 10.0% 4.0% 8.4% 4.2% IMF資料
より

数値化できない共通点として、「経済・社会改革」「経済の自由化推進」という記述があるので、その辺りをまとめてみます。 
 
 
 
ブラジル 軍事独裁 ⇒ 1985年 民政復帰 
 
ロシア 共産主義国(ソ連) ⇒ 1991年ソ連崩壊 自由経済へ 
 
インド 東西冷戦時は中立も、親ソ国家の社会主義国 ⇒ 1991年 経済の自由化 
 
中国 共産主義国 ⇒ 1976年毛沢東の死去 経済の自由化 
 
南アフリカ共和国 白人優越国家 ⇒ 1991年アパルトヘイト法の廃止で差別撤廃 

 

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