ラトソルとは、ラテン語で「レンガの土」を意味します。受験地理では、色が赤色であることで有名ですね。土壌の中では最初に学習するのがラトソルでしょうから、ここをしっかりと学んでおけば、その後の他の土壌の学習にも生かされます。ラトソルは「ラトゾル」とも表記されますが、本記事ではラトソルで統一します。
ラトソルの作られ方
ラトソルは、熱帯地方に見られる成帯土壌です。(成帯土壌の説明については別記事があります。)熱帯は高温で降水量が多いため、化学的風化が起きます。この化学的風化とは、二酸化炭素を含んだ雨水(酸性の炭酸水)が、地中の微生物の呼吸により濃度を高め、岩石・鉱物を溶かす作用です。カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムは溶けやすく、河川に流出します。溶けにくいとされるケイ酸ですら大半は流出します。結果として、水に溶けにくい酸化鉄と酸化アルミニウムが土壌中に残ったのがラトソルという土です。
ラトソルの色
上記のような理由で、酸化鉄と酸化アルミニウムに富むのがラトソルです。酸化鉄とは、錆びた鉄のようなものですので、錆びの赤色となるわけです。
ラトソルには「黄色ラトソル」というものもありますが、高校地理では無視しても大丈夫で、むしろ混乱を招くので、ラトソル=赤色とステレオタイプで覚えてしまうほうが良いでしょう。
ラトソルの分布域
ラトソルは熱帯に見られる成帯土壌ですので、その分布域は熱帯のそれと近いものとなります。ですので、赤道周辺の低緯度地帯がラトソルの分布域となります。
アジア:東南アジア、インド
オセアニア:オーストラリア北部
南米:ブラジル
アフリカ:コンゴ盆地、ギニア湾
ラトソルと人間生活
ラトソルは腐植層に乏しく、農業には向いていません。熱帯雨林などは、あれだけ緑に溢れ、落葉が大量にあるにもかかわらず、落ち葉が土の栄養分にはなりません。その理由は、落ち葉がシロアリなどの動物に食い尽くされてしまうからです。樹木は、落ち葉から直接栄養分を吸収します。ラトソル地帯にはアリ塚が多いことが知られていますが、このアリ塚に栄養分が集積しているため、アリ塚の上に木が生えたりもします。
ラトソル地帯で農業を営むには、樹木を伐採して焼畑にするか、川の水から栄養分を得る稲作という方法があります。
鉱業という点では、ラトソルのうちアルミニウム成分がとくに多い状態で固化したものをボーキサイトと呼び、アルミニウムの原料として重要な資源です。ですので、ボーキサイトの分布は熱帯地方に多くなっています。
ラトソルが「レンガの土」という意味であるように、古来レンガの材料として使われてきたことがわかります。