【Cw】温暖冬季少雨気候(温帯夏雨気候)は植生と東アジアでの分布をおさえましょう

  • 2020.03.12
  • 2020.09.27
  • 気候
【Cw】温暖冬季少雨気候(温帯夏雨気候)は植生と東アジアでの分布をおさえましょう

ケッペンの気候区分の中でも扱いの小さい気候区である温暖冬季少雨気候。気候区の名称すら何パターンかあり、学生にとっては記憶に残りにくい気候区でしょう。Cw気候区はどの大陸にも分布しますが、意識しなければいけないのは東アジア(中国・韓国)における分布でしょう。

温暖冬季少雨(温帯夏雨)気候(Cw)の特徴

  ケッペンが温暖冬季少雨(温帯夏雨)気候に付けた記号はCwです。C温帯、つまり「熱すぎず寒すぎず」ということ。wwinter trocken、これはドイツ語で「冬に乾燥」という意味です。言い換えると「夏に雨が降り、冬は少雨」ということです。
 もう少し具体的に言い換えます。「熱すぎず寒すぎず」とは「最寒月平均気温が-3度以上18度未満」のことで、「温かい」ということです。「夏に雨が降り、冬は少雨」とは「最少雨月降水量(冬)の10倍以上の降水が最多雨月(夏)にある」ということです。

 C ⇒ 温帯 = 最寒月平均気温 が -3度 以上 18度未満
 w ⇒ 冬季少雨 = 「夏の雨量」が「冬の雨量」の10倍以上 

 Cw(冬季少雨)の逆の気候となるCs(夏季少雨)の場合、10倍ではなく3倍の雨量差が必要となるので注意が必要です。

 夏に雨が降り、冬に降らないような気候がなぜ生まれるのでしょうか。これには大きく2つの理由があり、分けて考える必要があります。

 〈理由①〉本来ならばサバナ気候(Aw)に区分されるような場所が、緯度もしくは標高の問題で低温化し、温帯(C)に区分されてしまうケース

 この場合、夏の降雨は赤道低圧帯(熱帯収束帯)の、冬の乾燥は亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)の影響によるものです。ですので分布は、サバナ気候(Aw)の高緯度側となります。そもそもがサバナ気候の亜種みたいなものですので、高校地理においてはあまり重要視されていません。

 〈理由②〉大陸東岸で、季節風の影響により、夏に降雨が集中するケース

 この場合、夏の降雨は海からの季節風、熱帯低気圧(台風)、寒帯前線(梅雨前線)によるものです。冬は大陸から吹く季節風によって少雨となります。
 このような理由で生じるCw(温暖冬季少雨)気候は、中国と韓国にほぼ限定されています。高校地理では、こちらの理由によるCw気候が重要視されています。

温暖冬季少雨気候(Cw)の雨温図

 

Cw雨温図

 まず気温を見ます。最寒月平均気温が-3度以上18℃未満であること。これで温帯と判断します。
 次に雨の降り方がw型であることを読み取ります。北半球なら、気温が山型で降水量も山型。南半球なら、気温が谷型で降水量も谷型です。
 夏と冬の降水量を比較し、夏の最多雨量月の降水量が、冬の最少雨量月の降水量の10倍以上あればCwとなります。

温暖冬季少雨気候(Cw)の植生

 Cw気候区は、一般的に温帯の中では緯度が低く、冬でも温かいのが特徴です。ですので、冬にも落葉しない常緑広葉樹が広がります。このような樹木のうち、CwからCfa気候区にかけてみられる樹木を照葉樹といいます。
 Cw気候区の中でも緯度の高い地域では落葉広葉樹林が広がります。

 照葉樹:葉が濃い緑色で光沢をもつため、このように呼ばれる。 夏に多雨で、冬もそれほど寒さの厳しくない場所でみられる。日本においても、本来西日本は照葉樹の広がる地域であった。しかし現在は伐採され、自然の照葉樹林はほとんど見ることができない。神社の境内では、古来の照葉樹が残されていることがある。

照葉樹林の樹種

 照葉樹のうち覚えておきたいのがシイ・カシ類です。どちらも果実はドングリと呼ばれており、日本でも馴染みのある樹種です。とくにシイは、シイタケを栽培するための木でもあり、中高生にとっても覚えやすいのではないでしょうか。

温暖冬季少雨気候(Cw)の土壌

 Cw気候区のほとんどはAw気候に近い特徴をもつため、土壌についても同様のことが言えます。熱帯気候(A)は一般的にラトソルという赤土になりますが、緯度が上がって温帯に近い場所では赤黄色土に変化していきます。ですので、温帯の中でも熱帯に近い場所では赤黄色土が見られます。
 Cw気候区の中でも、中国の華北から朝鮮半島にかけては、褐色森林土という日本でも馴染みのある土壌が分布します。

温暖冬季少雨気候(Cw)の分布

 ここまで何度か書いたように、Cw気候区は大きく2種類に分けられます。ですので、Cw気候の分布も2つに分けて考える必要があります。

 サバナ気候が低温化したケースについては、緯度による低温化と標高による低温化があります。
緯度による低温化でCw気候が生じる場所は、南北20~25度の周辺です。
 アフリカ⇒ザンビア~アンゴラ
 南米⇒ボリビア~パラグアイ~ブラジル南部
 オセアニア⇒オーストラリア北東部
 アジア⇒インド北部~ミャンマー北部~ラオス、中国の華南地方
 標高による低温化でCw気候が生じる場所は、低緯度の山間地です。
 南米⇒ペルー~コロンビア(アンデス山脈)
 北米⇒メキシコ(メキシコ高原)
 アフリカ⇒ケニア、エチオピア

 季節風等により夏の多雨が激しくなっているケースについては、次の2か所があります。
 中国の華北~華中地方
 韓国

 細かく列記してしまいましたが、受験地理に関して言えば、中国の華南地方がもっとも出題頻度が高いです。都市名でいえば、香港と広州を覚えておきましょう。

温暖冬季少雨気候(Cw)における人々の生活

 夏に雨が多いため、農業には適しているといえます。アジアでは、稲作地帯となっています。更に低緯度で冬でも温暖な地域では、米の二期作も見られます。

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