バビロニアの世界図は世界最古の世界地図で、円盤型世界観が反映されている

  • 2020.02.27
  • 2020.09.27
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バビロニアの世界図は世界最古の世界地図で、円盤型世界観が反映されている

大英博物館に所蔵されているバビロニアの世界図は、紀元前700年ごろのものとされています。現存する世界最古の世界図です。本記事では、バビロニアの世界図から読み取れる当時の人々の世界観を説明します。

バビロニアの世界図はどのように作られているのか

 粘土板に描かれたサルゴン王(アッカド帝国)の物語に挿入された地図です。円を描くためにコンパスを使用したらしく、円(図)の中心に穴が残っています。楔形文字で情報が記されているため、描かれている図のことはある程度解読がされています。

バビロニアの世界図には何が描かれているのか


バビロニアの世界図 

 まず特徴的なのが綺麗な円です。これは「にがい河」と記され、海のことだと考えられています。
 中央の縦にひかれた二本線はユーフラテス川です。円の中心にはコンパスの跡があり、その上部にバビロンの都市が描かれています。
 ユーフラテス川は上部の「山地」から流れ出て、下部の「湿地」に注ぎ込みます。右下にはペルシャ湾が描かれています。
 海の内側に描かれたいくつかの小さな丸は、バビロン以外の都市を示しています。エラム(イラン)の首都スサ、ウラルトゥ(アルメニア)、カッシート(イラク)の都市ハバンなどです。
 海の外には三角形が見られ、欠損していますが本来は7つあったようです。これらの三角形は、海の向こうにある想像上の山地で、ドーム状の空を支える役割があると考えられていたようです。

円盤型世界観

 バビロニアの世界図のように、世界は平坦で、世界の端には「果て」があるとする考え方を円盤型世界観とよびます。
 認識されている世界が狭く、自分の目で見えるものしか信じられない場合には、これが世界のすべてであるという結論に落ち着いてしまいます。その結果、世界は平坦なものとされてしまうのです。

地図史における位置づけ

 科学的な世界観のない初期の人類が円盤型の世界観をもつことは理解できます。その後、科学が発展していくことで、地球が丸いという正しい世界観が生まれます。すると、地図もそれに合わせて変化することになります。
 バビロニアの世界図は、世界最古の世界図とされ、円盤型世界観を示した代表的なものです。その後、古代ギリシャ時代に天文学が発達して球体世界観が確立すると、プトレマイオスが球体としての地球を表した世界図を完成させました。

プトレマイオスの世界図 

プトレマイオスの世界図

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