【OAPEC】オイルショックとアラブ石油輸出国機構

【OAPEC】オイルショックとアラブ石油輸出国機構

OPECに比べて印象の薄いOAPECですが、受験地理では石油危機(オイルショック)との関係で出題されることがあります。「禁輸措置をとった組織」として「OPEC」と答えさせようとする引っ掛け問題もあります。そもそもアラブとは何か、という点も含めて解説します。

OAPECとは何か

 名称:OAPEC(アラブ石油輸出国機構 Organization of Arab Petroleum Exporting Countries)
 結成:1968年 
 加盟:10か国(2020年2月)
 本部:クウェート市(クウェート)

 OAPECはアラブ石油輸出国機構の英語略称で、英語での正式名称はOrganization of Arab Petroleum Exporting Countriesです。1968年に原加盟国の3か国(クウェート、サウジアラビア、リビア)で組織されました。加盟国は増えたり減ったりした結果、現在(2020年2月)は10か国となっています。

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OAPEC結成の経緯

 OAPECが結成されるにいたる経緯を見ていきます。
 1967年、イスラエルが電撃的にエジプトやシリアなどを攻撃します(第3次中東戦争)。この出来事に対して、アラブの産油国は石油の禁輸措置を取りました。戦争自体はすぐに終わってしまいます(6日間戦争)。このとき、「石油の禁輸をイスラエルに対する対抗手段として安易につかうべきでない」と考える穏当な国々がOAPECを結成し、協力し合うことになったわけです。
 しかしその後、OAPECには禁輸政策に積極的な国々も加盟したため、当初の思惑とは違う組織となっています。

アラブ:アラブ人の居住する地域を、地名としてアラブ地域と呼ぶことがある。アラブ人とは、アラビア語を話す人々のこと。よって西はアフリカのモロッコから、東はイラクまで広がる地域となる。受験地理では、イラン人(ペルシャ語)とイスラエル人(ヘブライ語)をアラブ人とハッキリと区別する必要がある。

OAPEC加盟国(過去と現在)

 OAPECは3か国でスタートし、新規加盟やチュニジアの脱退を経て、現在(2020年2月)は10か国となっています。

OAPEC加盟国

 

OPECとOAPECの加盟国比較

 

opec-oapec

 

OAPECとオイルショック

 第4次中東戦争(1973年)に際し、OAPECが石油禁輸措置をとったことで石油危機(オイルショック)が起こりました。中東戦争とは、英語でアラブ・イスラエル戦争(Arab-Israeli War)とも表記されるように、アラブ諸国(イスラム教)とイスラエル(ユダヤ教)による戦争です。アメリカがイスラエルを支援したことで、アラブ諸国は石油禁輸措置という手段と取ることで国際紛争を解決しようとしたのです。OPEC加盟国のうちアラブの国々は、このとき石油価格の引き上げを行っており、これもオイルショックの原因の一つです。ただし、試験で「禁輸措置をとった組織」を問われた場合には「OAPEC」と答えないと不正解となるので注意が必要です。

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