【OPEC】加盟国はどう変化したか?「OPECプラス」20ヶ国の構成国は?

【OPEC】加盟国はどう変化したか?「OPECプラス」20ヶ国の構成国は?

産油国の集まりであるOPECは、どのように誕生したのでしょうか。加盟国はどのような国なのでしょうか。アメリカやロシアといった産油大国が加盟していないOPECの影響力はどの程度あるのでしょうか。そして「OPECプラス」とは何か。構成国はどこか。本記事では、これらの疑問を解決していきます。

OPECとは何か

 名称:OPEC(石油輸出国機構 Organization of the Petroleum Exporting Countries)
 結成:1960年 
 加盟:13か国(2020年9月)
 本部:ウィーン(オーストリア)

 OPECは石油輸出国機構の英語略称で、英語での正式名称はOrganization of the Petroleum Exporting Countriesです。1960年に原加盟国の5か国で組織されました。加盟国は増えたり減ったりした結果、現在(2020年9月)は13か国となっています。
 石油価格や、石油に関わる政策を調整して、石油の価格を安定させることを目的としています。

OAPECの記事はこちら

OPEC設立の経緯

 OPECが設立されるにいたる経緯を見ていきます。1959年、欧米のメジャー(国際石油資本)と呼ばれる大手石油会社群が一方的に石油の価格を引き下げました。産油国としては、将来にわたって安定的に石油を供給することで永続的に利益を得続けたいわけです。しかしメジャーにとっては、一度に安く大量に石油を手に入れたいわけで、ここで利害が衝突することになりました。

 メジャー = 主に欧米の石油販売会社 → 安く大量に石油を手に入れたい
 産油国  = 主に中東の国々 → 安売りしたくない。一度に大量に掘らないでほしい

 このように、自国の資源に対する権益を確保しようとする動きを資源ナショナリズムといいます。1960年、産油国5か国はOPECを結成し、メジャーに対して一丸となって対抗できるようになりました。

 メジャー(国際石油資本):高度な技術と資本で、石油の採掘から販売までをおこなう巨大石油会社。エクソン、モービル、ソーカル、テキサコ、ガルフ(以上アメリカ)、ロイヤル・ダッチ・シェル(イギリス・オランダ)、BP(イギリス)の7社はとくにセブンシスターズと呼ばれる。
 資源ナショナリズム:自国の天然資源に対して主権を確立し、それを自国の利益のために利用しようとする動き。石油に対するOPECが最も有名だが、銅やボーキサイトでも同じ動きがみられた。

OPEC加盟国(過去と現在)

  OPECは5か国でスタートし、増減を繰り返し、現在(2020年9月)は13か国となっています。一度脱退してから再加盟する国もあり、複雑となっています。かつてはインドネシアのことを「東南アジア唯一のOPEC加盟国」ベネズエラのことを「南米唯一のOPEC加盟国」と枕詞のように呼んだこともありました。古い問題集や、入試の過去問に挑戦するときには注意が必要です。
 下の表を見ると、原加盟国は中東の国が中心となっていて、後から加盟した国はアフリカの国が多いことが読み取れます。

opec2020

OPECの影響力 

 OPECは世界の石油市場に対して、どの程度の影響力をもっているのでしょうか。それは、世界の石油生産量や埋蔵量に占めるOPECの比率から推測することができます。

原油産出量(2015年、%)『データブックオブザワールド』より
1位 ロシア     13.2%
2位 サウジアラビア 13.1% OPEC
3位 アメリカ合衆国 12.0%
4位 中国       5.5%
5位 イラク      4.4% OPEC
6位 カナダ      4.0%
7位 アラブ首長国   3.8% OPEC
8位 クウェート    3.7% OPEC
9位 ベネズエラ    3.6% OPEC
10位 イラン       3.6% OPEC

原油埋蔵量(2017年、%)『データブックオブザワールド』より
1位 ベネズエラ   17.9% OPEC
2位 サウジアラビア 15.7% OPEC
3位 カナダ     10.0%
4位 イラン      9.3% OPEC
5位 イラク      8.8% OPEC
6位 ロシア      6.3%
7位 クウェート    6.0% OPEC
8位 アラブ首長国      5.8% OPEC
9位 リビア      2.9% OPEC
10位 アメリカ合衆国 2.9%

以上のような統計となっています。OPECの世界全体に占める比率(2015年、wikipediaより)は、

  原油産出量 43%がOPEC
   原油埋蔵量 73%がOPEC

となっています。埋蔵量でみると、OPECの影響力がうかがえます。産出量ではOPECの比率が下がりますが、これこそがOPECの目指しているところで、「一度に大量には供給しませんよ」というOPECの姿勢が読み取れます。

OPECプラスとは

 石油生産をめぐっては、「OPEC 対 非OPEC」という図式が成立しているわけではありません。OPEC非加盟国であっても、石油の価格を安定させたいことに変わりはないからです。
 そこで、現在ではOPEC非加盟国も含めた「OPECプラス」という会合の場が設けられています。2016年11月の「協力宣言」で始まり、2019年7月には「協力憲章」が採択され、OPECプラスの枠組みが強化されました。
 OPECプラスはどのような国で構成されているのでしょうか。OPEC14か国がすべて含まれるわけではないので注意が必要です。OPEC加盟国のうち、原油の減産を免除されているベネズエラ、イラン、リビアの3か国を除く10か国、そして非加盟国からはロシア、カザフスタン、メキシコ、オマーン、アゼルバイジャン、マレーシア、バーレーン、ブルネイ、南スーダン、スーダンの10か国が参加しています。(ここでは、2020年1月の会議で減産に同意した20か国をOPECプラスとみなしています)次の記事が参考になります。https://www.bloomberg.com/graphics/opec-production-targets/?leadSource=uverify%20wall

OPECプラスの構成国

opec-plus

 

 OPEC非加盟国の中では、生産量、埋蔵量ともに多いロシアが重要な国となります。シェール革命によってアメリカの石油生産が世界トップクラスになったなかで、従来の体制では不十分と考えたOPEC加盟国の判断があるのです。OPEC単体での影響力は低下していると言えます。
  地理用語一覧はこちら

地下資源カテゴリの最新記事