【銅】カッパーベルトはどこの国にあるのか。銅の産出の多い国は

【銅】カッパーベルトはどこの国にあるのか。銅の産出の多い国は

高校地理においては、「銅と言えばチリ、チリと言えば銅」と強調するくらい銅とチリの組み合わせが重要となります。一方でアフリカには、カッパーベルトという、いかにも銅がたくさん採れそうな地名もあります。本記事では「銅地帯」であるはずのカッパーベルトの現況と、主な銅の産地について学習します。

銅の特徴と用途

銅には「電気をよく通す」(電気伝導率が高い)という特徴があります。そのため電線の原料として使われます。また、銅には「熱をよく伝える」(熱伝導率が高い)という特徴もありますので、鍋などの調理器具や、冷蔵庫・エアコンの伝熱管に使われます。
銅は英語でカッパー(copper)といいます。ブロンズ(bronze)といった場合は青銅をさしています。青銅は、銅と錫(すず)の合金です。錫(すず)の含有量の違いによって青銅の色が変化し、錫(すず)の比率が高いと白銀色の青銅が作られます。

カッパーベルトの過去と現況

コンゴ民主共和国南部からザンビア共和国にかけて、銅山が集まっている地域があります。この地域をカッパーベルトと呼びます。高品位の銅鉱を大規模に採掘できる地域です。
しかしコンゴ民主共和国では1960年の独立以降、内戦が続きました。また、ザンビアでは貧困とHIVの蔓延が社会問題となっています。このような状況ですので、効率的な銅鉱石採掘がなされてきませんでした。
21世紀になり、経済成長を遂げた中国での銅需要が高まりました。中国が安定して銅を手に入れるために目を付けたのがカッパーベルトでした。下にも書きますが、この一帯の鉄道網を中国の支援で整備します。銅の輸出が容易になったことで、カッパーベルトの銅の生産量が増えてきているという状況です。
カッパーベルトの銅にはレアメタルのコバルトが含まれています。コバルトの生産量は、コンゴ民主が世界全体の50%(2017年)を占めています。

 タンザン鉄道:ザンビアの銅鉱石を輸出するために、タンザニアを通過する鉄道。中国の支援で敷設。カピリムポシ(ザンビア)~ダルエスサラーム(タンザニア)。
 ベンゲラ鉄道:カッパーベルトの銅鉱石を輸出するために、アンゴラを通過する鉄道。アンゴラ内戦で運休するも、2015年に中国の支援で復旧。ロビト(アンゴラ)~テンケ(コンゴ民主)。

 2019年7月より、中国の支援でタンザン鉄道とベンゲラ鉄道は連結され、大陸を横断する一本の鉄道路線となりました。

世界の主な銅山

チュキカマタ(チリ):世界最大の銅山。アントファガスタの港から出荷。
モレンシー(アメリカ):この銅山を中心に、アリゾナ州で銅の採掘が盛ん。
ビンガム(アメリカ)
セロデパスコ(ペルー)

日本の主な銅山

銅は国内での採掘も可能ですが、海外から安い銅が輸入されるようになり、国内の銅山はすべて閉山されています。

足尾銅山(栃木県日光市):明治時代の鉱毒事件および田中正造議員の運動で有名。 1973年閉山。
別子銅山(愛媛県新居浜市):住友グループの礎。1973年閉山。
日立鉱山(茨城県日立市):日立グループ、日産グループの礎。1965年閉山。

銅に関する統計

銅鉱の生産(金属含有量)(2015年、%、『世界国勢図会』より)
1位 チリ       30.2%
2位 中国         9.0%
3位 ペルー        8.9%
4位 アメリカ    7.2%
5位 コンゴ民主 5.3%

銅鉱の埋蔵量(金属含有量)(2016年、%、『世界国勢図会』より)
1位 チリ                    29.2%
2位 オーストラリア  12.4%
3位 ペルー                11.3%
4位 メキシコ              6.4%
5位 アメリカ              4.9%

  地理用語一覧はこちら

あわせて読みたい

地下資源カテゴリの最新記事