【小麦】春小麦と冬小麦、何が違うの?【小麦カレンダーの見方】

【小麦】春小麦と冬小麦、何が違うの?【小麦カレンダーの見方】

世界三大穀物の一つとされる小麦。 日本人にとって小麦作りは馴染みがないだけに、勘違いをしている生徒も多いように感じられます。小麦から派生する地理用語も多く、大きなテーマとはなりますが、ここでは初歩的な事項を取り上げていきます。

小麦の起源

 原産地は、カフカス地方からメソポタミア地方とされています。高校地理では、ピンポイントで場所を特定する必要はありません。カフカス~メソポタミアなら、地図上では狭い範囲ですので、「ほぼこの辺り」と指でさすことができれば十分でしょう。 

小麦の生育条件

 生育期間は冷涼(月平均気温14℃)、成熟期は温暖(20℃)、降水量は500~750㎜が最適(『地理用語集』より)。よって、一般的には秋に種をまき、初夏に収穫します。降水量500㎜のラインは特に重要となります。中国やアメリカ合衆国では、年降水量500㎜の等値線を自分で引けるようになっておきましょう。アメリカ合衆国では、西経100度の経線と年降水量500㎜の等値線が近い位置となるので覚えやすいですね。

小麦の種類

 生物学的には1粒系、2粒系など多様な分類がなされています。また、パン小麦、デュラム小麦(乾燥パスタ用)といった分類もあります。しかし、高校地理では種をまく時期による冬小麦と春小麦の区別が重要視されています。

 冬小麦:秋に種をまき、初夏に収穫する。こちらが一般的な小麦。
 春小麦:春に種をまき、秋に収穫する。冬の寒さが厳しい寒冷地で栽培される。カナダ等。
 小麦カレンダー:各国の小麦の収穫期を一覧にした図。受験地理における読み取りでは、北半球なのか、南半球なのかを先ず判別します。そして、寒冷地に行くほど収穫が遅くなるため、同じ半球同士での判別が必要となります。特殊な例として、アメリカ合衆国は国内に冬小麦地域と春小麦地域が両方ともあるため、小麦カレンダーでも収穫期が別々に示されることがあります(そうでないこともあります)。

各国の小麦生産

 【日本】小麦の自給率は12%(2016)。輸入は、アメリカ合衆国から53.4%・カナダ26.9%・オーストラリア18.2%(2017)となっています。
 都道府県別生産(2017)は、1位:北海道67.0% 2位:福岡県5.5% 3位:佐賀県3.8%4位:愛知県2.9% 5位:群馬県2.7%。
 日本ではコメの裏作として、稲麦二毛作が行われてきましたが、現在はコメの裏作としての麦作はあまり見られません。
 【アメリカ合衆国】1位:ノースダコタ州 2位:カンザス州 3位:モンタナ州 4位:ワシントン州 5位:アイダホ州(2018年)(www.statista.com)
 春小麦地帯と冬小麦地帯に分かれるのが特徴です。高校生は、どちがが春か冬か混同しがちですが、南に位置するのが冬小麦です。

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 【カナダ】「カナダの小麦三州」と呼ばれるアルバータ州・サスカチュワン州・マニトバ州で春小麦の栽培がさかん。
 【インド】1位:ウッタル・プラデシュ州 2位:パンジャブ州 3位:マッディヤ・プラデシュ州 4位:ハリヤーナ州 5位:ラージャスターン州(2014-2015)(www.mapsofindia.com)
 【中国】1位:湖南省 2位:山東省 3位:安徽省 4位:湖北省 5位:江蘇省(2017)(www.statista.com)
 高校地理では、中国は「チンリン・ホワイ川線よりも北が小麦」という言い方をしますが、チンリン・ホワイ川線の南側である長江流域でも小麦栽培が盛んです。ただし、長江流域では米の裏作としての冬小麦栽培(二毛作)ということになり、米が主となるためか忘れられがちです。

小麦に関する統計

 

小麦の生産

 1位:中国 17.6%
 2位:インド 12.5%
 3位:ロシア 9.8%
 4位:アメリカ 8.4%
 5位:カナダ 4.1%

(2017年、データブックオブザワールドより)

小麦の輸出

 1位:ロシア 13.8%
 2位:アメリカ 13.1%
 3位:カナダ 10.7%
 4位:フランス 10.0%
 5位:オーストラリア 8.8% 

(2016年、データブックオブザワールドより)

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