【稲作】米は品種も栽培方法も多種多様【高校地理】

【稲作】米は品種も栽培方法も多種多様【高校地理】

 稲もしくは米は、「世界三大穀物」や「世界二大食料」として数えられる重要な食料です。
 日本人はお米を、単なる食べ物以上のものとして扱ってきました。中国ではアメリカ合衆国のことを「米国」とも「美国」とも呼びますし、タイでは白米のことを「カオ・スアイ(美しい米)」と呼んでいます。このように米食の国では、人々は米に対してポジティブに捉えていると感じられます。
 高校地理では、米については他の農作物以上に詳しく扱っています。今回は、そんな大切な稲・米について勉強していきます。なお、日本国内の稲作に関しては別記事で特集することにします。 

 

稲の起源

 かつて稲作の起源は「インドのアッサム地方から中国の雲南地方にかけて」と言われていましたが、現在は中国の長江流域が起源だという研究結果があります。受験地理では、稲や小麦の起源となる場所が問われることがあります。

   稲の起源 ⇒ 中国の長江流域

 

稲の生育条件

 稲といっても品種や栽培方法は多様ですので、一概には言えません。しかし高校地理では、『地理用語集』に書いてあるように、「生育期間中は高温多雨で、17~18℃の気温と1,000mm以上の年降水量を必要とする」と理解しておけばよいでしょう。
 とくに1,000mmというラインは重要です。中国における「チンリン・ホワイ川線」を筆頭に、インド周辺、アメリカ合衆国周辺については、自分で白地図に1,000mmの線が描けるようになっておくと受験で生かされます。
 最寒月平均気温18℃という気温は、ケッペンの気候区分でいう熱帯(A)と温帯(C)の境界にあたります。ですので、熱帯であれば米の二期作が可能になるという理屈になるのですが、実際には温帯であっても低緯度の中国華南地方などで二期作が行われています。 (二期作と二毛作は、中高生が混同しやすいところです)
 降水量については、1,000mmに達していなくても灌漑によって水を得ることができれば稲作が可能となります(カリフォルニア州、イタリア等)。また、気温についても耐寒性品種の開発によって寒冷地での稲作が可能となっています(北海道、中国の東北地方等)。中国の東北地方にある黒龍江省は、米の生産量第2位(2015年)の省となっています。

 

稲の種類

 生物学的な分類はともかくとして、高校地理においてはジャポニカ種とインディカ種の2種類が分かっていれば十分です。
 ジャポニカ種:短粒種。粘り気が強い。寒冷地での栽培に適する。
 インディカ種:長粒種。粘り気が弱い。熱帯地での栽培に適する。

 

稲の栽培方法

 水稲:田(水田)で耕作。毎年水を引き入れて栽培するため、地力の低下が少ない。冬が来ないような地域では二期作も可能となる。現在は稲作の大部分が水稲耕作である。
 陸稲:「りくとう」もしくは「おかぼ」とも読む。畑で栽培。山間部など、治水がおこなわれていない地域で栽培。熱帯地方の山間部では焼畑によって栽培されることも。
 浮稲:うきいね。水位の上昇に合わせて稲が生長し、背丈が5mを超えることも。雨季に入る前に播種し、雨季に生長、乾季に入ると収穫する。水位が下がらなければ船の上で刈り取り、水位が下がれば陸稲と同様に刈り取る。南アジアを中心に、東南アジアでも見られる。受験地理では、タイのチャオプラヤ川流域での浮稲が有名。タイでも治水が進み、浮稲栽培は減少している。バンコク日本人学校では社会科見学で見に行くことも。
 棚田:人口の多さに比べて米の生産量が不足している場合、山地の斜面を階段状に改変することで水田とし、稲作を行う。ルソン島(フィリピン)、ジャワ島(インドネシア)、華南地方(中国)が有名。

米の産地

 【日本】(2017年・日本国勢図会)1位:新潟県 2位:北海道 3位:秋田県 4位:山形県 5位:茨城県
 【中国】(2015年・中国統計年鑑)1位:湖南省 2位:黒龍江省 3位:江西省 4位:江蘇省 5位:湖北省
 【アメリカ】(2018年・www.statista.com)1位:アーカンソー州 2位:カリフォルニア州 3位:ルイジアナ州 4位:ミズーリ州 5位:テキサス州
 【インド】(2014-2015年・www.mapsofindia.com)1位:ウェストベンガル州 2位:ウッタル・プラデシュ州 3位:アンドラ・プラデシュ州+テランガナ州 4位:パンジャブ州 5位:オディシャ州
 【イタリア】ポー川流域のパダノ=ヴェネタ平野で盛ん
 【スペイン】バレンシア周辺で盛ん

 

米に関する統計

 米の生産量(2016年・世界国勢図会)千t
1位 中国 209,503 28.3%
2位 インド 158,757 21.4%
3位 インドネシア 77,298 10.4%
4位 バングラデシュ 52,590 7.1%
5位 ベトナム 43,437 5.9%

 米の輸出量(2016年・世界国勢図会)千t
1位 タイ 9,870
2位 インド 9,869
3位 ベトナム 5,211
4位 パキスタン 3,947
5位 アメリカ合衆国 3,316

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