セメント工業は、日本の各種工業の立地と比較しながら、地図を使って出題されます。カルスト地形の学習と合わせながら、国内の工場分布をおさえておきましょう。
セメント工業の概要
セメントは、古代エジプトや古代ローマでも使われていた歴史の古い工業製品です。
セメントは、石灰石に粘土やけい石等を混ぜて粉砕し、水を加えると硬化するという性質をもっています。
建造物の材料としては、地中より切り出した石材を使った時期もありましたが、現在はセメントに砂・砂利を混ぜて作るコンクリートに鉄筋を補った「鉄筋コンクリート」が主流となっています。
セメント産業は装置産業ですので、原料となる石灰石が採掘できる地域に広大なセメント工場が作られます。
日本のセメント産業においては、原料の石灰石が100%国内調達されています。
セメント工業の主な原材料
セメント工業の主な原材料は、石灰石です。日本では年間約7900万トンの石灰石がセメント向けに出荷されています。これは、全出荷量の47%に相当します。石灰石は、他にも21%がコンクリート向け、13%が鉄鋼向けに出荷されています。(データは、下記HPより)
石灰石鉱業協会HP www.limestone.gr.jp/
セメント工業の立地の類型
セメント工業は、原料指向型工業に分類されます。
日本において、原料である石灰石は、埼玉県、山口県、福岡県などに偏在しています。一方、市場は大都市が中心とはいえ、大都市以外でも土木工事等は行われます。工事現場は数か月もすれば移動するわけですから、工事現場の近くにセメント工場が立地することはありません。よって、鉱山から採掘した石灰石をベルトコンベアやトラック等で近くの工場に運び入れ、他の原料(粘土、けい石等)と調合・焼成・粉砕してセメントを製造することになります。
セメント工業の統計
世界のセメント生産量(2015年)(Wikipediaより)
順位 | 国名 | 千トン | % |
1位 | 中国 | 2,350,000 | 57.3 |
2位 | インド | 270,000 | 6.6 |
3位 | アメリカ合衆国 | 83,400 | 2.0 |
4位 | トルコ | 77,000 | 1.9 |
5位 | ブラジル | 72,000 | 1.8 |
総計 | 4,100,000 | 100 |
セメント工業の代表的な工業都市
高校地理においては、海外のセメント工業まで手を出す必要はないでしょう。
国内のセメント工業に関しては、カルスト地形の授業で登場した地名を復習しながら、場所を確認するとよいでしょう。
国内の主なセメント工業都市
秩父市(埼玉県)
宇部市(山口県) ← 秋吉台
周南市(山口県)
北九州市(福岡県) ← 平尾台
関連する項目・リンク
カルスト地形 | 石灰石 | 原料指向型工業 |