中学高校の農業地理分野でもっとも重要なのは、恐らく混合農業でしょう。この混合農業を理解するためには、前提となる三圃式農業の理解が欠かせません。本記事では、三圃式農業の説明、そして三圃式農業と混合農業の間にあるフランドル農法やノーフォーク農法についても解説します。 三圃式農業の基本 三圃式農業は耕地を三つに区分し、それぞれ異なる利用をします。ですので、英語では three-field farmin […]
高校地理では、牧畜の形態として放牧、移牧、遊牧など似た単語が出てきます。これらのうち意味的に似ている移牧と遊牧の違いを明確にします。また、移牧の3類型について解説します。 移牧の教科書的説明 一般的な移牧の説明は次のようなものです。 “アルプス山脈では、冬は低地で家畜を飼育し、夏になると高地に移動する” 板書は次のような感じになります。 夏 ⇒ 家畜を高地へ移動 冬 ⇒ […]
地中海式農業は、混合農業とならんで高校地理の農業分野の花形です。説明は気候との関係で単純明快ですので、生徒も勉強しやすい単元でしょう。本記事では、そんな単純な地中海式農業を、あえて突っ込んで解説します。ホイットルセーの原文にさかのぼった後は、現在の地中海地方における収穫カレンダーを見て、農民の1年間の農業活動のサイクルも学習します。 地中海式農業の教科書的な説明(地中海性気候との関係) 地中海式 […]
高校地理では、ホイットルセーの農業地域区分でヨーロッパの農業を学習する際に、二圃式農業がまず登場します。この二圃式農業を、単に「耕地を二つに分けて1年ごとに休ませる農業」で終わりにしていませんか? 本記事では、そこから更に突っ込んで、二圃式農業では「いつ」「どこで」「何を」作っているのかを学んでいきます。また、二圃式農業と三圃式農業の本質的な違いを解説します。 二圃式農業とはどのような農業か 作 […]
「エスキモーは差別語だからイヌイットと呼ぶ」。このように学校で習う人も多いことでしょう。しかし実態はもう少し複雑なようです。本記事では、地域によって異なる極北先住民の呼称について学習します。 アメリカの先住民 エスキモーもイヌイットも、アメリカ先住民の一部です。アメリカ大陸に最初の人類がやってきたのは約3万年〜1.5万年前とされています。当時は最終氷期の最寒期で、ベーリング海峡が陸地化し、人類は […]
高校地理の集落分野で、日本の村落の発達を勉強するときに最初に登場するのが条里集落または条里制集落です。生徒たちは、碁盤目状の土地区画といった話はすぐに覚えるのですが、条里集落が形態分類的にどうなっているのかは分かっていない者が多いと感じます。路村なのか塊村なのか、はたまた散村なのか。その辺りを解説します。 条里集落の成立 条里集落の成立は、大化の改新(645年〜)の班田収授法からとされています。 […]
地理学習サイトを運営しているせいか、全国の受験生から「おススメの地理参考書を教えてください」という要望が届きます。もちろん直接地理を教えている生徒からも聞かれます。書店に行けば何種類も似たような参考書・問題集が並んでいますので、どれを選べばいいか悩んでしまうのも仕方のないことです。本記事では、私が生徒たちに勧めている参考書・問題集を紹介します。 『大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる […]
集約的稲作農業やアジア式稲作農業と呼ばれる農業区分は、日本もそれに含まれるだけあって身近なものです。しかしながら、名前からは農業の内容が判断しづらいのではないでしょうか。本記事では、ホイットルセーがこの農業区分をどのように説明しているのか概説し、現在のアジアの様子とのギャップも見ていきます。 集約的稲作農業・アジア式稲作農業のネーミング この農業区分には、定着した呼称がありません。現行の地理B教 […]
明治期に北海道の警備と開拓をするために作られたのが屯田兵村(とんでんへいそん)で、全部で37か所が作られました。高校地理では集落地理の単元で登場する有名な用語です。受験生の多くが、「屯田兵村はアメリカのタウンシップ制の影響を受けた散村」と学習するのですが、本記事では屯田兵村が散村とは言い切れないという話をしていきます。 屯田兵とは~時代的背景~ 江戸時代を通して蝦夷地と呼ばれた北海道が正式に日本 […]
高校地理で集落の単元が始まると、最初の頃に登場するのが集村と散村です。どちらも初学者にとっては初めて聞く用語でしょう。高校地理・受験地理では、集落は地形図との組み合わせで出題されることもあり、その形態的特徴をおさえておく必要があります。本記事では、集落地理の最初に学ぶであろう集村と散村の違いについて学んでいきます。 マイツェンの研究 高校地理の集落地理の分野、とくに村落地理の分野では、村落の平面 […]